【完】向こう側の白鳥。
隣にいた一ノ宮先輩に、ソッと手を繋がれた。
前と変わらない、優しい暖かさ。
「帰るぞ。」
言ったのは沢渡先輩。
「…………。」
「柚子?」
「ちょっと、待ってもらえますか……。」
みんなが先を歩く中、私だけは動かなかった。
聞きたいことがある、彼に。
聞かなければならないこと。
きっと彼は、全て知っているから。
お姉ちゃんのことも、
一ノ宮先輩のことも、
二年前の全ても。
知っていると思うから。
「柚子!?」
暖かさを手放して、目の前の倉庫へと再び足を踏み入れた。