【完】向こう側の白鳥。
……そういえば、初めて一ノ宮先輩を見かけた場所もこの大通りだったな……。
通りすぎた横断歩道。
今日は、あの無駄に長い信号には引っ掛からなかった。
ツイてない……。
いつもなら絶対思わないことを思った。
「送っていただき、ありがとうございます。」
元々、あの大通りから家はそんなに離れていない。
十五分ぐらいで、家には着いた。
「…………。」
「先輩?」
黙りこくったままの一ノ宮先輩。
恐る恐る、私は顔を覗く。
――瞬間、先輩の両腕が私の背中へと回った。
「……え……?」