暴走族に愛された不登校女子。




もう1度見ると、少しだけ頬を緩めていた。



「やっぱ変わってるね」





それだけを言って立ち上がり、教室から出て行った。




授業中でも先生は怒らない。


彼は授業をサボるのが常習犯のようだ。





昼休み。


一人でごはんを食べているのを見られるのは嫌だから屋上に行った。

ここは11月になると人がいなくなる。



そりゃ寒いし、誰も来ないよね。


ひざ掛けを広げようとしたとき、近くから寝息が聞こえた。





屋上の端にある梯子をのぼると、小さなスペースがある。


そこに行くと、さっきの中沢君がいた。





寒そうにくしゃみを何回かしていた。




そっとひざ掛けをかけて、お昼ごはんを食べるために下に戻った。





今日のお昼は駅で買ったメロンパンだ。さくっと小さく頬張る。



(メロンパンって小さい頃お母さんが作ってくれたっけなぁ)




昔を思い出せば思い出すほど泣きたくなる。


だから思い出さないように、記憶を心の奥底に閉じ込めた。





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