暴走族に愛された不登校女子。
-杏-
「…」
ロープが身体に巻かれている。
身動きが取れないし、何よりもここは寒すぎる。
今、11月だからそりゃそうだよね…。
此処に連れて来た人たちはあたしの携帯をカチカチといじって、ニヤついていた。
「直樹ってヤツ、どんなひょろいのか知らねぇけどな。お前をソイツの前で食ってやるよ」
食う…。
直樹…、あたしはここでどうなっちゃうのだろう。
不安で柱に寄りかかった。
お腹の殴られたところはずきずきと痛みを訴え続けている。
それに寒くって眠いや…。でもここで寝たら凍死してしまうに違いない。
というか、ここってどこなのだろう…。
「おい、てめぇよぅ。もう小呉を苛めんなよ?」
あたしは苛めてないのに。そう思って睨みつけると、顔を思い切り殴られる。
「…反抗的な目ぇ見るとうぜぇんだよ」