暴走族に愛された不登校女子。




「うちが許すとでも思ってんの?


蒼太がずっと好きだったの。中学生のときから。

それなのにいつも守られて、いい気味になってるアンタが昔からうざかった。



早くうちの前から消えて欲しいくらいよ」




小呉があたしを睨み上げて手を叩いた。すると後ろからいつの日かに見たお兄さんが出てきた。



「また可愛がってやろーか…?」



「や、やだっ! 近寄らないでよ…」


「まだ頬が若干腫れてるな…」





少しずつ歩み寄ってきた。
あたしの後ろには木や草ばかりで逃げられなくなった。




「うちの前で慰めてあげて? 激しい慰めをね…」





また殴られるのだ。そう諦めて、目を閉じようとしたときだった。









「……おい」



「…あ、アンタ誰よ」





小呉の声音が変わる。あたしはそっと目を開けると、お兄さんが吹っ飛ばされていた。





「またてめぇか…、コイツを苛めてる悪人はよぉ…」




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