冷酷男子の溺愛



「ーーもう、今後わたしに関わらないで」

瀬戸内くんのように、笑顔を見せてそう言った。


キミに見せたことない格好で

キミに言ったことない鋭い言葉で


わたしたちの関係を途絶えさせる。



ずっと好きだった、とか

浮気しないで、なんて

生温い言葉なんかいらないから───



「知奈ももう終わりにしたいって。

よかったね、これでお互いの意見が一致したみたいだ。

心置きなく別れられるね」

と、瀬戸内くん。



「───俺は……」


「何?顔がひどくかすんでるよ元彼さん

あ、もしかして、俺はただお前に妬いて欲しかったとかそんなこと言いかけた?

そんなダサいことしないよね。

これ以上幻滅させないでほしいな」


目を光らせて、煽らせる言葉を放つ。



その滑稽さが、わたしを震わせた。








「さよなら、悠」


そう、一言だけ言い残してわたしたちは店を出た。






< 54 / 321 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop