前編 かすみ草の恋 ー大学生編ー
山田礼二
講義を終え
大学の目の前の小さな
喫茶店でミカを待つ

構内にたくさんカフェはあるから
この喫茶店には学生が殆ど入らないから
気兼ねなく時間が過ごせる。

ここだと、煩い取り巻きもいないしな!

珈琲を飲みながら
昼休みの事を思い出す。

んっとに、ミカは……
アイツは全然自分がわかっていない。

小さい時から、姉貴の影に隠れるように目立たないように生きてきたミカ。

自分のことを引き立て役くらいに思ってたみたいだ。

そんなこと全然無くて
ミカは充分女として魅力的だったのに
その事に全く気が付かず
顔をあまり見せないようにしてきてた。


美人なのに垢抜けきってない感じだったから


俺は内心ではホッとしてた。


ミカがかわいいのは俺だけが知ってればいいって思ってたから…


それが高2の時
ミカの美しさに気が付いた男が
俺以外にも増えて焦りに焦った。


その男は今は姉貴の旦那なんだけど
俺と同じくらい女に追いかけ回される
ような色男だったから
毎日がヒヤヒヤものだったのに


それくらいからミカは本来持ってる
美しさが滲み出てくるようになった。


やっとのことでミカの心をゲット出来たのに


父親の仕事の都合でアメリカに行っちゃって待つこと3年。


帰ってきたミカは
自分の美しさを全て解き放っていた。


小さい時から一緒に育った俺は昔から
ミカの美しさを知ってるから
どっちのミカでも
好きな気持ちは変わらない。


てか
ミカしかカワイイと思った事ないし。


ただ、あれだけ美しいと周囲が
放っておくはずもなく

さっきなんか変な野郎に
口説かれてんのに

ミカは全く気が付かず…

もう本当勘弁して
欲しいんですけど!!

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