前編 かすみ草の恋 ー大学生編ー
渡辺愛理
文化祭当日。


クラスの出し物の実行委員の鈴木さん
がスケジュール管理をしていたんだけど


ミカだけずーっと接客やらせてんの。


他の人達は接客と調理と交互にやったり

調理苦手な人はずっとホールにいるけど

接客苦手な人はずっと中で調理やってる


ミカの場合は調理希望で出してるのに
ずーっと接客させてるから
文句言ったら


「橘さんが接客に入ったら
売り上げ上がるでしょ!
それに橘さんホールに出てるからか
ずっと山田くんが
あそこにいるじゃない?
だから橘さんには
頑張って貰わないと!」


ヒドイなー!


鈴木さんサイテー!


レイジくんはムスーっとしながら
端っこの席に座ってミカを見てる


それだけでも絵になるレイジくん。


ただ、椅子に座ってるだけなのに
ヤバイくらいかっこいい(笑)


ミカが変な客に絡まれてる。


レイジくんがその客を
これでもかってほどに睨み付けて
ガタンッと立ち上がった。


ヤバイヤバイ


私がすかさず仲裁に入った


「お客様?ご注文はお決まりですか?」


「あっ?このお姉さんください」


とミカの事を指差した客に


「この子は売りものでは
ございません!
ふざけた事言ってるとあの人に
ボコられるよ?」


と最後の方は小さい声で言うと


その客はレイジの方を見た。


多分殺す勢いで睨まれたんだろう


途端におとなしくなって



「あ あの俺、用事思い出したんで…
すいません!」


と言って逃げるように店から出て行った
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