あなたに出逢えた
「違うよ、バカッ!栞菜が私を泣かせたわけじゃないもんっ……。絶対、違うんだから……」





気付かれた。莉音には、私の考えてることなんてお見通しなんだ。






莉音は、私をきつく抱きしめた。私も、それに答えるように莉音をぎゅっと抱きしめた。すると周りから、パチパチと拍手の音が聞こえてきた。




私たちは周りがいることをすっかり忘れて抱き合っていたのに気付いて、急いで離れた。そして、二人でおかしくなって笑いあった。






「栞菜、私も宮野もね、見返りを求めているわけじゃないの。ただ三人で笑いあっていたいだけなんだよ」

笑いあいたい……。

「だから、迷惑かけてるわけでも、お礼を言われたいわけでもない。だって、半分は自分たちのために動いてるようなものなんだ。栞菜と、ずっと笑っていたいんだよ。だから、気にしないでほしい」





私は、莉音の言葉に大きく頷いた。






絶対、大丈夫だよ。笑顔でいられるよ。








< 120 / 224 >

この作品をシェア

pagetop