らぶ♂ちょい
浮気相手の空耳


タクシーで連れて行かれたのは、街角に遠慮がちに店を構える小さな小料理屋だった。


「あら、久しぶりね、西野くん」


引き戸を開けると、カウンターから綺麗な女性が微笑んだ。

ちょうど鍋の蓋を開けたところで、白い湯気がフワっと立ち上る。


西野さんに導かれるまま、カウンター席へと座った。



「こちらは……」


私に視線を投げ掛けた後、西野さんへ微笑む。


「会社の後輩だ」


ぶっきら棒に告げる西野さんを見て、途端に顔色をパッと輝かせる。


「もしかして……コトリちゃん?」

「はい?」

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