よくばりな恋
「そんなに泣いたら目ん玉溶けるんちゃう?」



製薬会社の営業にもらって邪魔になっていたティッシュを箱ごと渡してやった。変な女が顔をこちらに向ける。色白の化粧っけのない顔。大学生くらいか。大きな目は印象的やけど美人というよりは可愛い部類。


そやけど好みではないな。



自慢やないが、オレのみてくれはオンナ受けがいいらしく、黙っていても寄ってくる。それが鬱陶しくて必要以上に関係のないオンナにまで愛想を振りまくようなことは極力したくない。


だから、ティッシュを提供した後は知らんふりをきめこんだ。
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