コワレモノ―人類最後の革命―
「不平等って?」
「だって、百瀬さんはたまたまいい顔といいスタイルで産まれてきたんだよ? それってただの運だよね? それでもてはやされるって、おかしいと思わない?」
「まあ、それもそうだな…」
「しかも、百瀬さんは私の夢を奪ったわけじゃん。同じ人間として産まれたわけだし、百瀬さんにも痛い目にあってもらわないと」
「…尾所、だったっけ?」

キーの音が止まる。そして…黒田が、振り向いた。

「俺と同じだな。考えてること」

黒田の顔の左下には、大きな火傷の痕が残っていた。何となく、黒田が引きこもってしまった理由も想像できた。

「俺…高校入ってすぐにデパートの火事に巻き込まれて火傷したんだ。痕が残ってる時に学校に行ったら、その瞬間イジメにあった。それで、引きこもった。でもその後、この状況に何となく違和感みたいなのを感じて。それで、今日お前と話して分かった。俺が感じてた違和感ってのは、不平等だってこと」

私と考えていることが同じ人が、他にもいた。私の考えていることは、間違いとは言い切れなくなった。それが、嬉しかった。

「学校の裏サイト、登録してる?」
「してるけど?」
「ユーザー名、教えてくれない?」

こういうことをするのは、だいたいご法度だ。だけど、私の強力な助っ人だ。ぜひとも、知っておこう。黒田が困れば、その時は私が手助けをすればいい。それで、納得してくれるだろう。

「『ブラック・カーゴ』。カタカナで」
「分かった」
「…よし」

イスから立ち上がった黒田は、伸びをしながら言った。

「ちょっと、拉致してくるか」
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