脳をえぐる小説集


羅利子は逃げようとしたが、足がもつれて、仰向けに転んでしまった。その上に、雅彦が馬乗りになり、包丁をふりあげる。


突然倒れた娘を見て、両親はきょとんとしていた。


想像してはいけない。自分が傷つくところを、決して想像してはいけない。


必死にそう考えたが、包丁が振りおろされた瞬間、喉が切り裂かれる様子をとっさに思い浮かべてしまう。




幻覚の血しぶきが、天井に飛び散った。




その光景を眺めながら、羅利子は自分の死を想像して












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