アロマティック
「アース?」

「目の前、あのひとたち、5人……」

 いつもののんびりした口調はどこへやら、片言の日本語で呟く理花は、かなり動揺しているみたいだ。

「さっき話したでしょ?「Earth」がこの街をジャックしたって」

 そこまでいった理花の頭のなかをある思いがよぎり、ふと黙り込んだ。
 みのりはEarthの話しに全く乗ってこなかった。いま、スーパーアイドルを目の前にしても動揺すらみせない。いつも通りでいるのは、興味がないからではなく、

「もしかしてみのりちゃん、さっきも反応薄かったけど、「Earth」を知らないの?」

 みのりと理花のやり取りを見ていた5人も、なぜかこの質問には注目しているような気がした。

「しっ知ってるわよ!」

 不機嫌そうに髪をくしゃくしゃと乱暴に撫でている問題の男、それ以外の個性的な面々に視線を移す。
 グループの名前は耳にしたことはあるけど、それぞれの名前と顔を聞かれて答えられるほどには知らなかった。
 みのりは唾を飲み込んだ。

「……テレビで何回か見たことある」

 雑誌もテレビもあまり見ないみのりは返答に迷った末、答えた。正確にいうと、仕事してたときに、休憩室でお昼を食べながら見たテレビで。

「それから、スーパーなアイドルで素敵な人たち、だっけ?」

「みのりちゃん、それ、私がさっきいったの繰り返してるだけだよぉ」

「おっと! びっくりな人がいましたよ」

 童顔のソプラノボイスの持ち主、天音(あまね)が大げさに驚く。

「俺らのこと知らないの!?」

 みのりに問題視されている永遠(とわ)が、低音ボイスをひっくり返す。

「マジか!?」

 とりあえず普通に驚く空(そら)。

「天然記念物級だー!」

 とりあえずなんでも楽しい聖(せい)。

「……めずらし」

 印象的な瞳の持ち主、朝陽(あさひ)が呟く。

 5人の興味を引いたらしい。集まる視線が痛い。
 理花は目をハートマークにして男たちを見ている。嫌な予感しかしない。

 最初は文句をいうだけのつもりだったけど(手もでたけど)これからどうなるの!?
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