アロマティック
 棚のとなりにあるカートを取ると、予め買うものを決めていたのか、色を確認しながら次々とボトルマグをカートに入れていくみのりに、理花が目を丸くする。

「青? 水色、緑、ブラウン、ベージュ……5色のアースカラーってことは、もしかしてEarthメンバーのだったり!?」

「ビンゴ。わたしが風邪引いて皆に移したら悪いと思って、予防でハーブティー飲み始めたら皆も飲みたいって」

「それで5人分!? みのりちゃんの入れたら6人分!」

 両手を頬に置いて驚く理花に、カートに入れたボトルマグを改めて手に取ったみのりは、重さと持ちやすさを確める。

「ハーブのブレンドもひとりひとり違うんだよ。もっとスッキリしたのがいいとか、甘いほうがいいとか、ビタミンCたっぷりめのほうが嬉しいとか、とにかくそれぞれ要望が多くて。ボトルを色分けして分かりやすいようにすれば間違えなくていいかなって思ったんだ」

 苦労も苦労と思わず、楽しそうに笑うみのりに、理花は大きく開けた目をぐるりと回した。

「なるほどねぇ」

 満足なものが見つかり、レジで会計をしているみのりを見ていると、その表情は柔らかく、慌ただしいながらもいまの生活を楽しんでいる様子が伝わってきて、理花は安心した。
 肩に入っていた力も抜けているみたいで、あのとき、思いきって背中を押してよかったみたい。
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