アロマティック
 みのりの前では素知らぬフリをしていた、空、天音、朝陽も、密室に男と女がふたりきり、それも恋心を抱いている関係で、みのりのあの慌てっぷりを見れば、ある程度の状況を推測できるというものだ。

「永遠」

 永遠の心境を気遣い、リーダーの空がそっと声をかける。

「……あー……」

 壁に頭のてっぺんをくっつけ、ため息と共に出された声には脱力感が滲み出ていた。

「あのタイミングで邪魔が入ったのが、いいことなのか悪いことなのか、わかんねぇ」

 壁に話しかけているため、永遠の声はくぐもって聞こえる。

「いや、よかったでしょ。もうちょっと時間ずれてたらどんな展開になってたよ?」

「………」

 朝陽の鋭い突っ込みに、黙り込む。

「確かに止まらなくなってたかも。俺……」

「うんうん、永遠ちゃんてば発情したオスの顔してたからね」

「そこ、黙っとけ!」

 的を射たことがいえたと、満足そうに頷いている聖に、壁から頭を離した永遠が吠える。

「でも最近の永遠を見ていると、みのりちゃんを美味しそうな目で見てるよな」

「俺、そんなあからさま?」

 朝陽の言葉に、心外そうに目を見開いて己を指さす。

「みのりちゃん本人が気づいているかどうかは別としてね」

 4人が同時に頷く。
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