こうべ物語



「ああ。けれど投げれなくなったのにその後、この街の少年野球チームを指導してみないか、って言われてね。やっぱり嬉しかったんだよ、野球に携われる事にね。」



「良かったね。」



「野球が出来なくなってから、もし自分に子供が産まれたら、男なら絶対名前は勝利にしようと決めていた。おばさん、頑張って元気な男の子を産んでくれてな。その日のうちに出生届を出したんだ。」



「どうして勝利、にしたの?」



「やっぱり、色んな事に勝って欲しい、強くなって欲しいと思ったからね。おじさんのように途中で挫折してしまう事のないように。」



「そうしたら、勝利、おじさんの思った通りになっているね。」



「ああ、勝利自身も、小学生からおじさんの野球チームに入って、今までよく頑張っていると思う。親が子供に夢を託す事が正しいかどうか、おじさんにも分からないけれど、勝利が楽しんで野球やってくれているのは本当に嬉しいよ。」



「そうだね。」



「勝利には挫折して欲しくない。妥協して欲しくない。だから、おじさんは勝利の為にどんな事でもやってやりたいんだよ。」


< 12 / 202 >

この作品をシェア

pagetop