こうべ物語



日本三名泉、日本三古泉である、豊臣秀吉も好んだとされる有馬温泉。


神戸の裏六甲に位置し、全国から温泉客が絶え間なく訪れる観光名所。


さくらは自宅から自転車で30分程の距離にある有馬温泉に1人で向かっていた。



(温泉って怪我を癒すには、きっと効果的だよね。)



勝利が肘を痛め、苦しんでいる姿を眺めながら、毎日毎日自分に出来る事を一生懸命考えていた。


そして、身近な事から始めようと思い付いたのが、有馬温泉の源泉を手に入れる事だった。



(近いから逆になかなか来ないのよね…。)



軽い上り坂を必死に漕いで到着すると、今度は自転車を降りて押しながらゆっくりと町並みを眺めて行く。


天気の良い日曜日は、紅葉がまだ早い9月でも沢山の観光客が大型バスから降りて列を作って歩いて行く。



(あれを見れば。)



観光案内所で有馬温泉についての案内板を見つけたので、早速近寄って眺めた。



(有馬温泉の効能は、っと。)



『各種アレルギー性皮膚疾患、慢性湿しん、じんましん、傷・やけどに効果』



「うんうん。」



『感染性皮膚疾患や慢性湿しんに効果』



「うんうん。」



『冷え性、腰痛、筋・関節痛、末梢血行障害などに効果』



「あった!」


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