大人しい彼の裏顔
「お前も連れか」



「あぁ、だったら何?」と返す達也。
こういうとこドライだよなぁと感心する。



「こいつに殴られたんだけど、どーしてくれんだよ」

慰謝料を請求するような口ぶりに笑えてくる。


「あ、そう」
なんとも、達也らしい。

「なっ……」

この最低野郎は口をパクパクしている。

「そろそろ、やめておけ。俺らに勝てると思うなよ」

(俺に勝てる奴なんてここらへんにはいねーんだよ)と嘲笑う。

「な、くそっ」


(馬鹿だな。コイツ)と思ったと同時に殴ってやった。



バキ--

また、俺に殴られた男は…


「くそっ!」と言い残して逃げてしまった。



「あ、あの…ありがとうございました」としどろもどろにお礼を言ってくれるこの子。
やっぱ可愛いとか思ったり…

今日の俺は変だ。




「俺らが助けなきゃ、今頃あんたヤられてただろうね」



「優、もう少し優しくしてやれ」


なんでだろう。普段もう少し紳士な気がするよ俺…


達也に言われたらおしまいだ。





< 15 / 62 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop