【短編】ヤクザのキミ。




「…好きだぜ」


そっと頬に、

手のひらが触れる。





「お前しか見えないんだ」


「…」





「今すぐには言わない。

だけどもう、

俺等は戻れないんだよ」




「戻れない世界なんてないわ。

貴方が、人を愛せたら、

また会いましょう―…」





離れた手のひらと心。

だけど最後に笑えてよかったと思う。



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