沖田総司と運命の駄犬
沖田「はぁ・・・。はぁ・・・。はぁ・・・。」
僕は、部屋を出て、外に出て、河の土手まで走った。
嘘だよ・・・。僕が、梓を・・・。
そんなわけ無い。
僕は、この日、ちょうど非番だった。
沖田「なんか気まずい・・・。」
屯所へは、戻らず、角屋に行き、里音に会いに行った。
里音「沖田先生、ようこそ。」
僕は、里音に抱き付いた。
里音「沖田先生?ケホッ。ケホッ。」
沖田「里音・・・。抱かせて・・・。」
里音「どうかしたのですか?」
理由を聞かれたくなくて、僕は、里音を押し倒した。
時折、里音は、咳を零す。
でも、今は、里音が、風邪だろうが、どうでもいい。
僕の中の気持ちは、間違いだと気付かせて欲しいんだ・・・。
僕は、お美代ちゃんとのことで、色恋は、懲りた筈だ。
好いても、どうしようもない。
ましてや、あんな、未来から来たとか言って、おなごとは思えないようなおなごを好いてるなんて、あるわけ無い。
いや、あってはならない。
きっと、僕は、欲求不満なだけだ。
おなごなら誰でも良いだけだ。
だったら、後腐れない芸妓を抱いた方が、良いじゃないか・・・。
でも・・・。
あの時の梓の顔は、明らかに恋するおなごの顔だったよね・・・。
僕のこと好いてるのかな・・・。
口付けしたあの時・・・嫌だったら、もっと抵抗するよね?
でも、梓は、抵抗しなかった・・・。多分・・・。
ということは、梓は、僕の事、好いてるのかな?
里音「何か、嬉しいことでも?」
ハッと気づく。
沖田「何が?」
里音「今、嬉しそうなお顔をされたので・・・。梓さんと良いことでも?」
沖田「違うよ・・・。違う。」
梓が、僕のこと好いてるかもって、思うだけで、僕が、嬉しそうな顔してるの?
でも、梓は、キッパリ、否定してたし・・・。
梓が、わからないよ・・・。
土方さんの事もどう思ってるのかわからないし・・・。
って、一番わからないのは、僕か・・・。
フッと、自嘲して、僕は、里音を押し倒して、肌を重ねた。