沖田総司と運命の駄犬



沖田「取りあえずその格好じゃ目立つから、着替えて?」




そう言われ、タンスから、着物を何着か出される。




沖田「やっぱり、大きいか・・・。」





沖田「これ、あげるから、自分の寸法に直しなよ。取りあえず、今日は、そのまま着ておいたらいいよ。」




と、着物を渡された。



梓「あの・・・。私、裁縫とか、出来な・・・。」




沖田「はぁ!?おなごのくせに、裁縫も出来ないの!?信じられない!当たり前のことだよ?」





梓「家庭科の授業では、しましたけど・・・。」




そう言うと、沖田先輩は、今までで、一番大きな溜め息をついた。





沖田「取りあえず、してみなよ。見てあげるから・・・。」




梓「はい・・・。」





チクチク・・・。




梓「痛っ!」




チクチク・・・。



梓「っ!」




チクチク・・・。




梓「いっ!」




沖田「はぁ・・・。貸して!」





沖田先輩は、着物を私から、ひったくると、華麗な手さばきで、着物の裾上げを始める。





梓「スゴーイ!!しかも、綺麗!先輩って、手先器用なんですね!」




沖田「おなごなら、これくらい出来て当たり前だよ?」




梓「でも、先輩、男ですよね?」





沖田「僕は、小さい頃から、家族と離れて暮らしてたから、こういう事が、出来るだけ。君は、おなごなんだから、こういうのが出来ない自分を恥じるべきだよ?」





梓「う゛・・・。」




やっぱり、辛口の沖田先輩・・・。




沖田「はい。」




あっという間に直した着物を、渡してくれた。




梓「ありがとうございます!あの・・・。着物の着方が・・・。」




沖田「まさか、わからないとか・・・?」




殺される・・・。




視線で、殺される。




凍えて死にそうになるくらい、冷たい目で、睨まれる。




梓「あの・・・その・・・はい・・・。」





沖田「はぁぁぁぁぁー。」




先ほどのが比で無いくらいの深い溜め息をつかれた。



沖田「脱いで!」




梓「え!?」




沖田「その召し物、脱いで!」




梓「嫌です!」



沖田「あっそ。じゃあ、その変な着物着て、さっきみたいに、売られそうになったら?今度は、助けないから。」




梓「う゛・・・。」



沖田「もしかして、そこだけ、おなごのように、恥じらってるの?だったら、他のことで、恥じらうことばっかりじゃない?どうするの?」





梓「わかりましたっ!」




私は、服を脱いだ。




私が、恥ずかしがっていると、沖田先輩は、溜め息を一つして言う。





沖田「そんな体で、恥ずかしがらなくて、良いんじゃない?」



梓「え?」




沖田「顔は歳相応だけど、体は、わらしじゃない。」




梓「なっ!さっ・・・最っっ低!!!」




私は、沖田先輩に背を向けた。



上を向き、涙が、こぼれないように、歯を食いしばる。




いくら、私が、うっとおしいからって、ここまで言うなんて、酷いよ!




すると、後ろから、襦袢を肩から、掛けられた。




沖田「ごめん。今のは、言い過ぎた。」





ゆっくりと、体を、反転させられて、向かい合う。



でも、その瞬間に合わせを綺麗に、してくれた。



着物を着付けてもらい、ポンと、頭に手を置かれた。



沖田「なんか、君だと、イジワルしたくなるんだよね・・・。」




沖田先輩は、少し、優しい目をした。


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