沖田総司と運命の駄犬




見廻りから、帰ると、梓は、もう寝ていた。




沖田「ただいま・・・。」




僕は、眠っている梓の頭を撫でる。



沖田「また、よだれ・・・。」




梓は、布団によだれを垂らして、気持ち良さそうに眠っている。



僕は、紙で、梓のよだれを拭いた。




沖田「梓・・・。」




僕は、梓の唇に指を近付ける。



自覚したら、近付きたい気持ちが、どんどん大きくなって、溢れ出てくる。




何かにつけて、僕は、理由を付けて、梓に触れている。




こんな回りくどく理由を付けないと触れられない関係じゃなくて、触れたいときに触れられる関係になれたら良いのに・・・。




でも・・・。





嫌われては、いないだろうけど、男としては、見られていない気がする。





土方さんの事、どう思ってるかも気になる。




それに・・・。




梓は、帰れるのか、どうかは、わからないけど、帰る場所がある。




そんな梓に想いを伝えるなんて出来ない・・・。





してはいけない気がする・・・。





沖田「はぁ・・・。どこにも行かないでよ・・・梓・・・。」





僕は、梓の鼻を摘む。





梓「グハッ・・・。んー・・・。」





起こした?




起こしては、いけないと思いつつ、起きて、おかえりと言って欲しい。




そんな複雑な気持ちを抱えていたら、梓の手が、僕の指を掴んだ。




沖田「っ!」




梓は、僕の指を口に含んで、僕の指を吸っている。




色っぽい・・・。




その光景に見入っていると、梓は、ニコリと笑った。




梓「期間限定の・・・トロピカルシェイク・・・おいひい・・・。」




沖田「とろ?」



って何?




梓の唇が、僕の指を吸っているのを見ると、胸が騒ぐ。





ガジッ!




沖田「痛っ!」




梓が、僕の指を噛んだ。





ガジガジ。





しばらくすると、梓は、また僕の指を吸って来た。






梓「おいしい・・・おかわり・・・。」





沖田「おかわり・・・って、何か食べ物と間違ってるの?・・・ぷっ!さすが!」





僕は、梓の口から、指を抜き取る。




沖田「血が、出るまで噛むって・・・犬じゃないか・・・。」




僕は、血が出ている指を舐めて、布で拭いた。





沖田「僕の指、噛んだお仕置き・・・。」




僕は、梓の唇に自分のを重ねた。




ゆっくり唇を離して、僕は、梓の頭に唇を押し当てた。




沖田「梓・・・。好きだよ・・・。って、寝てる相手に、何してるんだろう。」





僕は、梓から離れて、自分の布団に潜った。


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