沖田総司と運命の駄犬




小間物屋から、櫛が出来たと連絡が入った。




非番の日。




僕は、梓に、今、もの凄い人気の店に並ばせて、僕は、小間物屋に櫛を取りに行く。





沖田「わぁ・・・。綺麗ですねー。」




こういう物の良さが、わからない僕でも、良いものだってわかる。




花の絵とかにしとけば良かったかな?





でも、梓だし・・・。





これの方が、梓らしいか。





僕は、櫛を紙に包んでもらうと、屯所にはすぐ帰らずに、近くの寺の境内に足を向けた。





沖田「さて・・・。買ったは良いけど、どうやって渡そう。」




僕は色々と考える。



沖田「梓、これあげる。・・・。ダメだ。普通の飾りだと思われる。・・・梓、この櫛を受け取って?櫛を渡す意味、わかる?僕と夫婦になろう?・・・って、恥ずかしいよ。う~ん・・・。」





僕は、グルグルと回る。




沖田「はぁ・・・梓、これ、つけておいて。君の飼い主は一生、僕だからね?って・・・こんなんじゃ、絶対、梓には伝わらないし!はぁ・・・。緊張するよ。梓ごときに緊張するなんて・・・。」





でも・・・。梓には、僕の隣で、ずっと笑っていて欲しい。





喧嘩したり、仲睦まじかったり、ずっと今のような二人でいたい。





って、僕は、死と隣り合わせだし、人を斬ってるけど、そんな僕を元気にしてくれるのは、いつも梓だ。イライラする事もあるけど。




それでも、梓とずっと一緒に居たい。






沖田「梓・・・。僕は、近藤先生が一番大事だから、この先、梓を悲しませるかもしれないけど、それでも、僕は、梓と一緒に居たい。梓と家族になりたい。夫婦になってくれる?」





僕の言葉は、いつの間にか夕暮れ時になっていた橙色の空に消えていった。






僕は、決心して、屯所に戻った。
< 194 / 222 >

この作品をシェア

pagetop