沖田総司と運命の駄犬
それから・・・~沖田side~



梓が亡くなって、しばらくすると色々な事が、変わっていった。




山南さんの脱走・・・。




そして、切腹。




僕が、介錯を承ったが、正直、辛かった。




近藤先生への裏切りは、絶対許せない。




しかも、見本となるべく幹部の脱走。




だから、最初、土方さんが、僕に大津の宿へ行けと言った時には耳を疑った。





だって、僕は、山南さんの事を、兄上のように慕っていたからだ。





・・・




沖田「嘘でしょう?何故、僕?」





土方「良いから行け。山南は、大津の宿にいる・・・。」




沖田「何故、それを・・・。」



って、土方さんは、全てを知っているのか・・・。





宿へ行く途中、馬を走らせていると、咳が止まらなくなった。





ちょっと、マズい・・・。





僕は、馬を止めて、口に手を当てると・・・。





沖田「っ!・・・ははっ・・・。土方さんの事は、信用はしてるけど、時渡りって、本当に出来るんだ・・・。」





僕は、血で染まった手を手拭いで拭いた。





見つかったら、絶対、休めって言われるだろう。





どこまで知ってるのかはわからないけど、僕は、動けなくなるギリギリまで、隊士でいたい。






僕は、また、馬を走らせた。






土方さんの言った大津の宿へ行くと、本当に、山南さんがいた。





山南さんは、一瞬、刀に手を伸ばしたが、僕の出した殺気で、本気と悟ったのか、逆らうのを止めて、一緒に帰ることとなったのだ。





沖田「はぁ・・・。」





誰かに・・・梓に側にいて欲しい。




でも、もし、ここに梓がいたら、僕のこと許してなかったかもしれないな・・・。





こういう事が、これからも続くのなら、梓は、きっと、耐えれないだろう。





そっか・・・土方さんは、コレを見せない為に、梓を元の所に帰そうとしたのか・・・。




もし、僕が、土方さんのように、未来を知ってたら、きっと、土方さんと同じ事をしただろう。





僕は、気怠い体を布団に投げ出して眠りについた。


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