沖田総司と運命の駄犬



屯所を出ると、土方さん達が、帰ってきた。



土方「お前、どこか、行くのか?」




梓「お帰りなさい。えっと、団子を買いに・・・。」




土方「はぁ・・・。気をつけて行ってこい。」




梓「はい。」




私は、走って、その場を去った。





お団子を買って、戻ると、沖田先輩は、部屋に居なかった。





きっと、土方さんの所だろう。




私は、部屋に団子を置いて、大好きな人の元に行った。






梓「あの・・・。梓です。入っても良いでしょうか?」





「どうぞ。」




梓「失礼します。」




そこは、山南さんの部屋だ。





この人は、とっても、優しい。





町で、新選組の噂は、最悪だけど、この人の噂は、良い噂ばかりだ。





もちろん、私も、大好きな人。





山南「総司と一緒にいたんじゃないのかい?」




梓「団子を買いに行って、戻っても居なかったんです。あ!山南さん、団子食べませんか?」





山南「でも、君が、買ったんでしょう?」





梓「大丈夫ですよ!高給取りの人の財布からですから。」




山南「ぷっ。総司、怒らない?」




梓「大丈夫ですよ。あれだけ団子買ってるくらいだし、一本分くらいのお金が、減っても、わかりません。それに、団子買いに行ってるお駄賃です!」




山南「くくくっ。君って、本当に、面白いおなごだね。総司が、珍しく可愛がるのが、よくわかる。」




梓「可愛がられてる実感が、全くありませんけど。」





山南「あの子は、自分のワガママをあまり言わない子だからね・・・。梓に、甘えられてるんだって知ったとき、驚いたよ!ハハハ。」




梓「ワガママになりすぎてる気がしますけど・・・。」




山南「それだけ、梓には、気を許しているんだろうね。」





梓「許しすぎです!」




山南「くくくっ。これ以上、言うと、姫のご機嫌が、悪くなるから、止めておくよ。今日は、これを、学ばないかい?」





そう言うと、山南さんは、昔話の本を貸してくれた。





ここに来て、文字を読めなかった私に、教えてくれている先生だ。






ちなみに、沖田先輩は、「めんどくさい。」の一言で、本を一冊くれただけだった。





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