沖田総司と運命の駄犬
コレって、独占欲ってヤツ?~沖田side~






季節が変わり、暑くなってきた頃。




町は、いつも以上に、賑わっていた。




梓「まるで、クリスマスの時の街みたい・・・。」




梓は、平気で、エゲレスの言葉や、訳のわからない言葉をよく使う。



特に、キリシタンなどの事は、捕まって、酷い目に遭わされると聞いている。



沖田「はぁ・・・。梓、キリシタンの言葉は、あまり、使っちゃダメだよ?まぁ、捕まっても良いなら、どんどん、話せば、良いけど、僕を巻き添えにしないでね?」



一応、注意しておく。




梓「沖田先輩、相変わらずの毒舌・・・。優しいのか、冷たいのかわかりません・・・。でも、どうして、こんなに、賑やかなんですか?」



そういえば、そんな、季節か・・・。




沖田「あぁ。祇園祭が近いからだよ。」




梓「祇園祭?知ってる!!へぇ、この時代も、祇園祭ってあったんだ!」




梓のいた時代と、ここにある物を梓が、知っていると、少し、嬉しい・・・。





梓「はい!えっと、日本三大祭りの一つ!だったと思います。」




まぁ、梓が、もうちょっと、賢ければ、色々な事を聞けたんだろうけど・・・。



でも、もし、梓が、この時代に、詳しかったら、もっと、危ない目に遭っていただろうから、バカで良かったのかも・・・。



現に、梓が来た頃、何度か、誘拐をされかけた事があった。




全て、梓に、知れることなく事は終わったけど。




しかし、梓が、バカって、わかってから、誰も、梓は狙われなくなった。




たまに、変なのに、騙されて、付いていって、危ない目に遭っているけど・・・。




梓「わ、私だって、教える事の一つや二つあります!」




沖田「何?」




梓「う゛・・・。」




梓をいじめるのは楽しい。




すぐに、ムキになるし、騙されやすい。




沖田「去年は、京に来たばかりで、バタバタしてて、行けなかったんだよねー・・・。」




梓「じゃあ、一緒に、行きましょう!」




沖田「えー。梓とぉ?」




それって、二人きり?



逢瀬って事?




梓「何?その不服そうな顔は?こぉんな、可愛い梓ちゃんとお祭りデートですよ?」




やっぱり、逢瀬のつもりか。



僕が誘われた事が少し、嬉しい・・・。って、僕、何で、梓なんかに誘われて、ちょっと、浮かれちゃってんだろ?



沖田「でえとって何?意味は、何となくわかったけど・・・。山南さんと行こうかな♪」





梓「ちょっと!私の誘いを無視!?私だって、山南さんと行きたいのに!私が、誘うので、沖田先輩は、土方さんと行ってきて下さい!」





沖田「何が、悲しくて、僕が、楽しいお祭りを、鬼と一緒に行かなきゃいけないんだよ!」




梓「良いじゃないですか!おんなじ副長でしょ?」




沖田「だったら、梓が、鬼と行けば良いじゃないかな?」




梓「そっか・・・。じゃあ、土方さんに連れて行ってもらおっ!」




何で、そこで、そうなるんだよ!



やっぱり、バカだ!



沖田「やっぱり、駄犬だ!飼い主は、誰だよ!」





梓「飼い犬だって、良い餌をくれる人に懐くんですぅ!」




沖田「本っ当に可愛くないっ!」





梓「どっちがですが!」





沖田「仕方ないから、僕が、連れてってあげるよ!犬の散歩も飼い主の役目だし。」





梓「別に、土方さんでも良いのに・・・。」





土方さんと行きたいのか?




誰でも良いって事?





沖田「僕じゃ、不服ってこと?」





そう言うと、梓は、ピクッと、体を揺らした。




梓「いえ!滅相も、ございません!沖田先輩と行けるなんて、チョー嬉しいッス!」




沖田「言葉遣いが気持ち悪い!訳わかんないこと、喋らないで!」




梓「はーい・・・。」




すると、梓は、嬉しそうに、ニコニコしていた。




僕とお祭りに行くのが、そんなに、嬉しいの?





だったら、お祭り用に、おなごの着物を用意してあげようかな・・・。





僕は、自然と、頬が、緩んでいた。


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