素顔のキスは残業後に【番外編】第2話完結
大晦日の恋人達

「幸せになりたい。そう思った時に柏原(カシワバラ)さんの顔しか浮かばなかった――。こんな自分知らなかった。私、本当はすごく欲張りみたいです」

喉から搾りだす声に彼の瞳が微かに揺れる。

伝えたいと思った。ただ願うのではなくて、そばにいるだけで心から喜んで貰えるような存在になりたい。


そう強く願うことで変われる気がしたことを。
いつも意地悪に細まる瞳が照れたように細まるだけで。
ただそれだけで、胸が温かくなれたことを。

彼を好きになって気づくことが出来た沢山のことを――。


「柏原さんが好きです」



これは想いを深め合ったあの日から数日後の話。

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