最初で最後の、恋だった。
第1章

★憧れの先輩










「「キャアアアアアッ!!」」




今日も、正門前は、王子様を待つ女の子たちが溢れている。

どの子も…皆…皆…可愛い…美しい……。

あたしとは…大違い……。




あたし、

三ノ矢望愛(みのや・のあ)。

家から5分ほどの共学高校に通う1年生。



あたしは、ハッキリ言って地味。



肩より下までの黒髪は、固く艶なんてない。

ある理由から切らない前髪は長く伸びきっていて、目を隠してしまっている。

まぁ目元が見えたとしても、一重で目つきは悪い方だから、美人とは言えない。

目鼻立ちは整っていないので、不細工と言って良いかもしれない。

見た目に頓着しないので、スカートは今時珍しい膝下スカート。

良く言えば校則通りだけど、悪く言えば地味子。





「輝飛先輩!」

「おはようございます!」

「相変わらずイケメンですわ!」




正門から校舎までの道を、長い足でスタスタ歩く、王子様。

大げさな例えかもしれないけど、それほど先輩はかっこいい。







< 2 / 157 >

この作品をシェア

pagetop