どうしてもママ、子供のまま。



家に帰ってポストを見ると、ピンクの封筒が届いていた。




後ろには、



【椎名高志
このみ】





と、幸せそうな夫婦の名前が。






『招待状だ…』












家に入って、リビングにダッシュする。
そして、思いっきりリビングのドアを開けた。

黒いニットを着てテレビを見ていた佑が、ビックリした顔で私を見た。





「どっ、どした!?」


『あ、これ!これ…!』


「待て待て!わかった!わかったら落ち着け!」


『え?』



「身体をいたわれ」



『あ…』




佑、こんなときも私の体のこと心配してくれてるんだ。
でもあれ?私の体のことかな?赤ちゃんのことかな?



…。








よぎった気持ちもすぐに消え、私は気を取り直して佑の前に招待状をみせた。


佑の目ギリギリのところに招待状を見せつける。







佑は、招待状と、すぐ察したようだった。





「これ…このみ?」



『そう!明後日…だって』



「そっか、やっと姉ちゃん幸せになるんだ」



『……そうだね』









私たちは、二人で招待状を見る。

私の口から漏れた、ぽそりとした本音。





『いいなぁ…』








それはなんの妬みでもなく、裏心もない、ただの羨み。

隣でクスっと笑った彼。



ポンポン、と、彼は頭を撫でてくれた。





『ゆ…』


佑、って呼ぼうとして止められた口。
佑はやさしく私に、キスをした。







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