狂気の王と永遠の愛(接吻)をイメージ画集とつぶやきの場

10/7 仙水とアオイ③

「…っ…!!」


口をﾊﾟｸﾊﾟｸさせ、言葉にならない言葉を紡ぎだすアオイ。


「わ、わたっ…お父様が…っ…」


「…子供はいつか親のもとを離れるものです。それが遅いか早いかの違いではありませんか？」


清らかな仙水の瞳に見つめられ…アオイの心の臓は今にも破裂しそうに高鳴っていた。


「だ、だめですっ!!私…傍にいてあげたい人が他にも…っいるんです!!」


近づいた仙水の顔がﾋﾟﾀﾘと止まった。


「…なんですって？それは聞き捨てなりませんね…」


「そうなんです！聞き捨てならないんですっ!!ですから…」


「まぁ…ここで話を続けるのも無粋ですから移動しましょう」


まるで羽の枕でも抱えるように立ち上がった仙水は軽々とアオイを横抱きにしたまま別室へと歩いていく。


大理石のテーブルの中心には可愛らしい花々が飾られており、部屋の隅々に置かれた銀の燭台にはなんとも優雅な彫刻が施された蝋燭が聳(そび)え立っている。


(センスイ先生ってやっぱりお金持ちなんだ…)


見慣れない光景にあたりを見回すアオイ。
上品な言葉使いや出で立ちに、只者(ただもの)ではない何かを感じていたアオイだが…


「すべて貴方のために用意したものです。気に入っていただけましたか？」


仙水は甘い微笑みをその美しい顔に浮かべ、名残惜しそうにソファへとアオイをおろした。


「…私のため？その…ありがとう、ございます…」


いつもはゲストとして誰かを迎い入れる立場のアオイだが、こうして歓迎されてみると…なかなか気恥ずかしい思いが拭えずにいる。

赤くなる顔を隠すため、わずかに俯いた彼女に目元をほころばせる仙水。