恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜



校長がこう言えば、教頭も事務長も何も言えなくなる。

それに今は、事実についてあれこれ小言を言うよりも、この現実に対処しなければならなかった。


「古庄先生が年度末に異動して、賀川先生が残っても、賀川先生もすぐに産休に入ることになりますね」


事務長がその事実を指摘する。


「来年度は3年に上がる学年なのに、同じ地歴科の教員が同じ学年部から二人も抜けるのは、…どうでしょう…?」


教頭も、更に導き出される事実を指摘して、難色を示した。

一同は頭を付き合わせて、考え込む。


すると、しばらくして真琴が口を開いた。


「古庄先生は異動をせずに、あと1年この学校で勤務をして、私が4月から産休に入るというのは無理なんですか?」


「産休は出産予定日の8週前からですから、そうすると産休に入るのは4月の終わりくらいで…4月の1ヶ月間は勤務してもらわないと…」


真琴の案も、事務長によりあっけなく打ち砕かれたが、真琴は別の方法も導き出す。


「それでは、4月は休暇を取るという形ではいかがですか?年次休暇の繰り越しもずいぶんあるはずですし」


「年次休暇じゃ、代替の講師を入れられない。4月の賀川先生の授業は、まるまる全部穴が空くことになる」



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