恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜

 
 
思えば、その頃すでに暗くなりつつあり、荒天になりそうだったので、他のスキー客の姿はほとんどいなかった。


――コースからはそんなに外れてないはずだ…。下手に動き回ったら、もっと迷ってしまうぞ


古庄の思考は、佳音を探し出すことよりも自分の身を守ることにシフトした。
今は何よりも、この雪と風から体温を奪われるのを防がないといけない。


どこかに身を隠す場所はないかと、目を凝らして辺りを見回す。
すると、ぼんやりと大きな木の幹のようなものが見えたので、古庄は雪の中に埋もれつつあったスキー板を掘り出して、そっちの方へと向かった。



古庄はその木の後ろに回り込み、スキー板を外すとそれで雪を掘り始めた。


――雪洞ビバークするには、もうちょっと硬い雪じゃないとダメなんだが…


と思ってみたが、今はそんな硬い雪の場所を探す余裕もないし、硬い雪を見つけられてもそれを掘る道具もない。


それでも、木の幹を背に、側面を降り積もった雪で少しでも囲めたら、この風は防げる…。

そう思って古庄は懸命に雪を掘り、叩いて固めて、何とか自分一人がいられる場所を作った。



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