恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜



「森園さんは家庭にも問題を抱えていて、年明けからもずっと欠席が続いて、とても不安定な様子でした。古庄先生はきっと彼女が『自殺』してしまうのではないかと、危惧していたと思います」


その話を聞いて、皆は一様に押し黙った。クラスに不登校の生徒を抱える大変さは、どの教員も身に沁みて解っている。
 
 
けれども当の佳音は、どこの誰とも分からない男とドライブに行っていた…。
これだけの教員が佳音一人に振り回されて、古庄は佳音がいるはずのない山を探し回り、この雪と夜のせいで戻れないでいる…。

誰もが険しい顔をして、佳音への憤りを隠せなかった。



時計を見たら、もう8時を過ぎている。古庄が佳音を探しに行ってから、4時間が経とうとしていた。


「お願いです。山岳警備隊でも何でもいいですから、古庄先生の捜索を頼んでください。何も装備もないのにこんな吹雪の中にいたら、本当に死んでしまいます」


真琴は校長に歩み寄って嘆願した。

涙で潤む真琴の瞳に射抜かれて、校長は言葉をなくす。
このように真琴が古庄を心配し、ひどく憔悴している理由を、校長だけは知っている。

真琴の言葉に出せない思いをくみ取るように見つめ返すと、一つしっかりと頷いた。



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