恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
古庄自身、自分の容姿が普通ではないことは知っている。
何ら周りの人間と変わるところなどないのに、周りの人間たちは勝手に自分を崇め賛美する。
もちろん、真琴は容姿だけで人を判断するような人物ではない。
しかし、自分のこの容姿は、そんな真琴をも苦しめていたなんて…。
「…君が『怖い』と思う原因が俺のこの顔なんだったら、俺はこの顔を火で焼いて、二度と見られないようにしてもいい」
古庄がそんなことを言い始めたので、真琴の涙に困惑の色が混ざる。
「…何を、言ってるんですか?」
戸惑う真琴をしっかりと見つめ、古庄は断言した。
「たとえそうなっても、君は俺の側にいてくれる。好きでいてくれるはずだ」
潤んだ目で、真琴が古庄を見つめ返す。
「……もちろんです。でも、絶対にそんなことしないで下さい。あなたが苦しむのなら、私が代わりにそうなります」
そう返答すると共に、止めどもない涙をどうすることも出来ず、真琴は手の甲でそれを拭った。
古庄は真琴を抱きしめ直して、真琴の涙を唇で拭い、耳元で囁いた。
「君は俺のものだ…」
それから、真琴の頬を両手で包み、震える瞳をじっと捉えながら語りかける。