キスをお先に、頂きました
こんな時にも、朱加の名前を呼べなかった。
朱加は泣いていたにも関わらず、追いかけられなかった。
朱加が追い詰められていたのも知らずに…。
バカな俺は、朱加の不意な告白に
顔を赤くしてその場に立ち尽くしていた――
その夜。
携帯電話が鳴った。
『ちょっと…、遥葵!』
その電話に出た途端、叱られる。
…栞菜だった。
『遥葵…アンタなんで朱加を追いかけなかったの?朱加まだ泣いてたよ』
その言葉に衝撃をくらった。
まさか…まだ、泣いてるのか?