ふわふわ。

最近の倉坂さんは、些細なところでアピールをしてくる。


この間も、キャビネットの高いところにあるファイルを取ろうと手を伸ばしていたら、背後に立って無言で取ってくれたり。


コピー紙の入った段ボールを運んでいたら、無言でもってくれたり。


ボールペンが落ちたのを拾ってくれて、何故かしっかりと手を握られたり……


うん。

シチュエーション的には、ある意味とっても胸キュンよ。


無言で無表情でさえなければ。


どれもこれも無表情、無言で、そのままデスクに戻る倉坂さんに、同じ事務職の同僚には貼り付いた笑みを見せられ、牧野さんに至っては、

「熱でもあるのかしらね?」

なんて、心配されてる倉坂さん。

端から見ると、とてつもなくシュールな感じに見えるらしい。

私もそう思うのですが……。
きっと、それが彼なのだろう、とも思う。

……うん。
嫌いじゃないですよ。
嫌いじゃないし、友達でもないし。

でも、好きかと言われると微妙。

だって、そもそも苦手な人だったし。

無表情だし。

口数少ないから、何を考えているか解らないし。

最近は、頑張って皆と話そうと努力してるな~、とか、この間は笑ってくれたな~、とか。

一生懸命で、仕事中に腕捲りをする男性は、なんかいいなぁ……なんて、ちょっと思うけれど。

あ、思うかな?

うん。思う。

何て言うか、倉坂さん普段はきちっとしてるから、いつもと違うとそれだけで男性的って言うか。

若干、ギャップ萌えって言うか。


それに気づいたのはいつだっけ?

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