そっと、もっと、ぎゅっと~私に限り無い愛を~
…体の痛みで目が覚めた。

目を開けたオレは、ドアップで見える矢沢の顔に、

驚いてガバッと起き上がった…が。

座って寝ていた矢沢が倒れそうになり、慌てて支えた。

「…ったく」


気持ちよさそうに眠る矢沢をソファーに横にし、

寝室から持って来た布団をかけた。


・・・。

マジマジと寝顔を見つめると、

矢沢の閉じている瞳がかすかに濡れていた。


あれ程怖い思いをしたんだ。

独りではいられなかったんだろう。

…乱れる髪を優しく撫であげながら、そんな事を思った。


・・・一人ではいられないと言う矢沢を、自分の部屋に入れたはいいが、

これからどうしたものだろうか?

男と女が同じ屋根の下で暮らすのはいかがなものかと、

思ってしまう。

それに、矢沢は今、社内の女子社員から白い目で見られてる。


こんな事が会社で噂になったら、

矢沢の立場は増々悪くなるだろう。
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