そっと、もっと、ぎゅっと~私に限り無い愛を~
そんな矢沢が可愛く見えて、思わず笑ってしまった。

「もぅ!大谷さんはどこにいても、意地悪です!」


「はいはい、何とでも言ってくれ」


…実のところ、矢沢は苦手なタイプだった。

…一生懸命な女はどうも苦手で。


失敗しても、グッと堪えてる矢沢を、鼻で笑ってた。


どうせ、こんなの表向きだけだって。


「大谷さん」

「・・・何?・・・ッ!!おまっ!」

…不意を突かれ、デコピン返しされてしまった。


「…今後の料理担当お前だからよろしく」

「え・・・え~?!何でそんな事勝手に決めちゃうんですか?!」


「…オレにデコピンなんてしやがった罰だ」

「…そんな~…私、あんまり料理得意じゃないんです」

「…オレも得意じゃない」

「・・・へ?」


「だから、お前が料理担当・・・

居候はつべこべ言わない・・・わかったか?」


「・・・分かりました、…勉強します」

そう言ってシュンとした矢沢。

・・・そんな顔ですら可愛いと思ってしまう俺はバカなのか?
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