偽装シンデレラ~続きはオフィスの外で~
*********

柾貴に指摘されるまでこの想いが恋だと気遣かなった。


柾貴よりも経験豊富で女心も理解出来ると自負してたが、自身の恋心に気づかなかったとは情けない話だ。
でも、地味子は俺のタイプじゃないし、この恋心を認めたくないキモチもあった。

「リー君…この人はどう??」

「婆ちゃん…俺・・・仕事中なんだけど…これから取引先に・・・」

「…これはリー君の人生がかかった大事な話!!仕事よりも大切でしょ?」
今の俺には人生よりも取引先との商談の方が大切だが、婆ちゃんは訊く耳を持たない。

父方の祖母・濱部美古(ハマバミコ)御年79歳。
歳よりも外見は若く見え、美に対する追求は年々ヒートアップしていく。
我が『ハートフル化粧品』の会長。

「・・・」

婆ちゃんはテーブルにお見合い写真を並べる。その数何と20名。

「リー君に早く結婚して貰わないと…お婆ちゃんだってあの世に逝けないわ」

「…そう言われても…俺はまだ結婚願望無いし…」

「社内で浮名を流してばかりいると…お婆ちゃんだって…貴方に社長の椅子あげないわよ」

「ええ~~っ!?」
社長の椅子は欲しいけど、婆ちゃんの言いなりになって見合い結婚したくない。

「俺…交際している女性が居るんだ」

「それは初耳ね…」

「だから…見合い出来ません」

「じゃ~直ぐにその女性と結婚しなさい」



< 10 / 210 >

この作品をシェア

pagetop