偽装シンデレラ~続きはオフィスの外で~
「俺は近くに居た…釣り人に救われて…大事には至らなかった。父さんと俺の関係はそれから・・・ギクシャクしちゃって…兄貴のように期待すらもされなくなった」

「稜真さん…」

「姉貴と将来を誓い合っていた柚希さんには責められて…『俺は一生結婚しないと宣言した!!』なのに…俺は奈那子と…それは全部…社長の椅子を手に入れて…父さんの片腕になりたかったんだ。父さんとの関係を修復したかった」


「…稜真さん…これ」

私は膝元に置いたバックからハンカチを出し、稜真さんに差し出す。


「涙、これで拭いて下さい」


「あ、ありがとう・・・」


稜真さんはハンカチを受け取って頬を伝う涙を拭った。


「男が女の前で泣くなんて…情けない」

「泣きたい時は泣いた方がいいですよ。悲しいのに…男も女も関係ありません」

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