偽装シンデレラ~続きはオフィスの外で~
「コーヒーマシンが無いな…秘書室は二つあるから一つ持ってこようか?」

栗原さんが何も無い給湯室を眺めて一人でブツブツ独り言を呟く。


「私が取って来ましょうか?」

「いや…俺が行く」

栗原さんは給湯室を飛び出して行く。

その動きは機敏な猫のような速さ。
マイペースな私は彼のような動きが出来るのか不安になる。


「あれ?柾貴は?」

「コーヒーマシンを取りに行くと言って、秘書室に行きました」

「そっか・・・」

稜真さんは何もない食器棚を覗き見る。

「新築のような匂いだな」

「そうですか・・・」

「お前…本当の俺の秘書で良かったのか?父さんの秘書になった方が遣り甲斐あると思うぞ」

「それは・・・」

稜真さんと一緒に仕事がしたいと言えなかった。

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