偽装シンデレラ~続きはオフィスの外で~
「どうぞ」

母さんはアツアツのロールキャベツを食卓に置いた。

母さんは俺の前に座り、ジッと俺の顔を見つめる。

「いただきます」

「稜真の選んだ女性ってどんな方?」

「クールなオンナ」

「クール?」

「うん、全然愛想がないし可愛くない」

俺はナイフとフォークを使いロールキャベツを半分に切る。中から染み出る肉汁が堪らない。

「えっ!?じゃどうして結婚するの?」

母さんは俺の肩すかしな返答を不思議そうに思い、問いかける。ここで、母さんに偽装結婚だとバレたら社長の椅子が遠のく。


「え、あ…でも…笑うと最高にいい女」
俺は慌てて二の語句を紡ぐ。


偽装結婚とは言え、パートナーとして選んだのはきっと本気で奈那子がスキなんだろう。
悔しいけど、執拗に彼女を求め続ける理由が他に見当たらない。

認めるしかないのだ。

―――――俺は奈那子がスキ。

スキと思うだけで心臓がドキドキして胸が痛い。






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