偽装シンデレラ~続きはオフィスの外で~
稜真さんのキスは甘くて濃密。

彼とは何度キスを交わしたかな?

稜真さんは私のベールをたくし上げて頬を優しく撫でて唇を近づける。


私も瞳を瞑って受け入れた。


軽いキスだが、そのキスの意味の罪の深さは計り知れない。

純白のウエディングドレスとタキシードを真っ黒に染めてしまう。

周囲に知られたら、身が破滅するかも。

提案者の稜真さんは嬉しそうに満面の笑みを浮かべて私を抱き上げてヴァージンロードを歩く。


私も落ちまいと必死に彼の首許に手を回し、カラダを密着させた。

芝生に出た私達を待っていたのは列席者達のフラワーシャワー。

「あれれ?柾貴も来てたのか?」

「余りにも幸せ過ぎて周りが見えていないようだな。稜真」

全ての事情を知る栗原さんは皮肉げに言うと手にしていたデジタルカメラのシャッターを切った。







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