君にKiss 【短編】
「…りん、花梨ってば!
何ぼーっとしてんの?」
光輝の声で我に返る。
『な、何?』
「だから、明日仕事休みだよね。どっか出掛けない?」
『うん、いいよ。どこ行く?』
「オレ海見たい。」
『またぁ〜。』
「うっっ、ダメかな?」
上目使いにお願いする彼。
私はそれにめちゃめちゃ弱い。
年上のくせにかわいすぎっ!
『しょうがないなぁ〜いいよ。』
光輝は海が好きだった。
時々どこか出掛けようとなると
必ず海が見たいと言う。
彼は嬉しそうに笑い
私を軽く抱きしめ
「ありがとう」と言って
背中をポンポンと叩く。
光輝は時々嬉しいと
私を抱きしめた。
と言ってもぎゅっと
抱きしめるわけではなく
軽く包み込むように…。
私はそれでも
毎回ドキドキして
顔が赤くなってしまう。
それを悟られないよう
私は立ち上がり
『今日夕飯何にする?』
そう言ってごまかした。
*