きっと、君を離さない



「大石!」



怒鳴りつけるような声で病室に入ってきたのは池内。
来るころだと思った。
てか、ここ病院なんですけど。


「聞いたんだ」

「きいたんだじゃねぇよ!どういうことだよ!」

「聞いたとおりだよ」

「なんで!・・・あの子のためか」

「違うよ。俺がそう決めたんだ。・・・春香ちゃんは関係ない」




俺が決めたことだ。
それを、春香ちゃんのせいになんかしたくない。




「どっちか選ばないといけないんだろ」

「だからって、なんで春香ちゃんなんだよ!」




池内が胸ぐらをつかむ。
腹の傷がキリリと痛む。




「春香ちゃんが、好きなのか?」

「違うよ。そんなんじゃない。彼氏になろうなんて思ってないよ」

「じゃあ、菜緒と別れてまで選ぶ必要ないだろ!」





中途半端な覚悟じゃ、彼女の側にはいられない。
彼女の手は、とれないんだ。





< 123 / 390 >

この作品をシェア

pagetop