きっと、君を離さない



「は?理恵が転校?」



春香と会った二日後のサークルの時。
池内からそう聞かされる。
それで、春香のあの切迫した様子の理由がわかった。



「なんで急に」

「知らねぇよ。春香ちゃんも知らされてなかったみたいだぜ」

「なんだよそれ」



あからさまに苛立ってそう言うと、池内は顔を引きつらせて笑う。




「お前って、ほんとわかりやすいよな」

「なにが」

「春香ちゃんに、本気なんだなってこと」




池内の言葉に、口ごもる。
本気。
一体、俺の気持ちはどこに向かっているのか。


正直のところ、わからない。





好き、とかそんな言葉じゃ表しきれない。
そんな、複雑な気持ち。



簡単な気持ちで、春香の側にいると決めたわけじゃない。





きっと、彼女が抱えてるものって俺なんかが想像できるものをゆうに超えているような気がして。




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