きっと、君を離さない



「生きてるかー」




頭上から聞こえる声に、ハッと顔をあげた。
いつの間にか眠っていたらしい。



「お前、人を呼び出しといてなに寝てんだよ」

「・・・呼び出した?俺が?」

「は?無意識かよ」




目の前の席に座る池内の姿に、俺は首をかしげる。
見ればここはファミレスのようだ。

そう言えば、春香の家を出てごちゃごちゃな心のやり場に困った俺は、思わず池内に電話したんだ。




「突然電話だと思ったら、泣き言言って助けてって言って電話は切れるし。探すの大変だったんだからな」




ウンザリした顔の池内。
探したって、よく見つけられたな。




「春香ちゃんのところに行ってたのは知ってたしな。その付近だとは思ってたから」

「あ・・・、それは、すんません」

「別にいいけど、なんかあった?」




つくづく、こいつはいい奴だ。
時計はもう12時を回ってる。
こんな時間に電話かけてわけわからないことを喚いて電話を一方的に切った俺の事を必死で探して。
こうして嫌な顔せず話を聞こうとしてくれている。




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