きっと、君を離さない



「帰ってください。もう・・・これ以上、彼を傷付けるなら、私はあなたを許さない!」





春香が、男にそう叫ぶ。
男は舌打ちをして玄関を飛び出した。






「・・・ごめん。・・・ごめん・・・」




バカだ。
怒りに我を忘れて。

結局春香に助けられた。




情けねぇ。





「・・・ありがとう」





ありがとう、なんてそんな言葉。
俺にくれなくていいよ。




俺は、春香の笑顔を結局守れなかった。




春香の頬を伝う涙を見て思う。





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