きっと、君を離さない



引っ越した先では、新しい恋もしたし、友だちもできた。
それでもいつもどこか満たされずに。



淡い青春の思い出がそうさせるのか。




草太さんとの恋は、ただの片思いで。
私の思いを伝えることも、うまく話をすることだってできなかった。



28歳になった私。
今なら、もう少し違った恋愛ができるのかな。




そして今、私はあの町に戻ってきている。
仕事を辞め、転職を期にこの町に戻ってきた。




まだ、彼らはこの町にいるんだろうか。






「・・・理恵?」





懐かしい町を歩いていたら、突然声をかけられた。
私に声をかけてくれるような人が、この町にいるなんて・・・?

不思議に思い振り返ると、そこにいたのは、とても綺麗な落ち着いた雰囲気の女の人だった。




でも、どこか面影がある・・・。





「え・・・春香・・・?」





でも、まさか。
春香はもっと、きつそうな顔をしていたはず。
綺麗だったけど、どこか人を拒絶しているようなそんな雰囲気が表情にも出ているような・・・。




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